緩やかな連携、様々な地域資源活用で町内会危機を乗り切ろう!

栄東
2025.12.13


書評:水津陽子「「若い世代や女性が活躍する 自治会・町内会の極意」(2025年実業之日本社)

 自治会・町内会の解散が増加、高齢者の就業が担い手不足を加速しています。今や自治会・町内会の崩壊が懸念される崖っぷちです。

 横浜市都筑区の調査では、50代以下が大半の調査で「困ったときに助け合える地域の絆、人とのつながりは必要」とする方が約7割と地域コミュニティに対する潜在ニーズが確実に存在します。その一方で、自治会・町内会がその受け皿になり得ていない現実があります。

 そんな中、「どのような運営等であれば加入や参加するか」では、「役が強制されない」69%、「希望や都合で参加できる」65%のほか、「加入を前提にせず、ボランティアで参加」21%という結果。この中に打開策のキーがあるのかもしれません。

 この本は、自治会・町内会の危機やアンケート結果などを前提に、全国各地の事例をもとに、「自治会レボリューション」「若手リーダーの発掘と育成」「子育て世代を呼び込む」「女性を呼び込む」「多様な連携を呼び込む」という5つの極意で打開策を提示しています。

 例えば、「自治会レボリューション」では、楽しい「お祭りボランティア制度」の導入に端を発しての中高生や親子での自治会役員の誕生、親子で参加できる楽しいイベントへ変化した総会のほか、学生役員の生の声をのせ、若い世代を呼び込むヒントを示しています。

 「子育て世代を呼び込む」では、IT活用の積極的な推進と紆余曲折を経て、若い世代参加するユニークな企画を多数、機動的に展開し、参加へのハードルを下げる「ゆるサポ」という“ゆるい参加形態”で、例えば、「企画は得意」「当日の仕事は任せて」「半日なら手伝える」「こどもと一緒に参加したい」など多様な参加形態を実現しています。

 「多様な連携を呼び込む」では、様々なNPO、企業、多彩なパートナーの連携を実現した自治会の変遷を紹介しています。この指とまれ方式や地域内の施設、企業の連携、デジタル活用などの事例が盛り込まれています。

 遅ればせながら、栄東地区でもコミュニティスクールの活動が本格的に始まろうとしていますが、若い世代の接点としては、絶好の機会であり、迷惑施設と捉えがちな障がい施設との連携など、地域資源の可能性を気づかされた本でもありました。


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