担い手不足、役員高齢化が深刻。若者参加を望む

栄東
2024.04.02


 このほど、札幌市が実施した「町内会・自治会に関するアンケート調査結果」が公表されました。平成21年から実施され、今回4回目にあたり、町内会活動などの活性化を図るため、札幌市がどのような施策・事業を行うかの検討資料とするものです。

 概況、役員の年代、財政、総会の参加状況、組織、役員報酬などの町内会の概況から、活動状況、広報、加入促進、若者への協力や依頼したいこと、デジタル化のほか、運営上の課題、今後取り組みたいことなど多岐に渡っています。主なポイントを紹介しましょう。

役員の55.2%が70歳代。60歳以上が約8割

 まず、町内会の概況の中から、役員構成をみると「70代」が約55%で前回調査(H27)から10ポイント増加し、逆に「60代」が約23%と15ポイント減少しているのが特筆されます。これが役員高齢化の現実です。

 役員報酬では、約7割が報酬を支払い、会長の報酬は、「3万円以上5万円未満」が30.6%、「2万円以上3万円未満」が20.8%、「1万円以上2万円未満」が19.6%となっています。

活動は、84%が環境美化、67%が交通安全、保健福祉も59%

  活動状況では、「地域の清掃やリサイクルなど環境美化活動」が最も多く84.2%で、「交通安全推進活動」の67.1%、「高齢者・障がい者への支援などの保健福祉活動」の59.4%が続きます。

 参加者の多い活動は、「祭りや伝統芸能などの維持・保存活動」で「会員の5割以上」の参加が7.2%、「会員の2割~5割」が26.6%でお祭りなどのイベントなどのニーズの高さがうかがわれます。

広報は回覧主体だが、効果が不安

 活動情報の提供手段は、「回覧などで、会員に情報を提供している」が86.5%と大多数です。「独自の広報誌を作成して発信している」も37.0%となっています。デジタル化では、LINEでの情報提供が50.%で、次いで、「Facebook」(11.4%)、「インスタグラム」(11.4%)となっています。

 一方で、「回覧の効果(読まれているかどうか)がわからない」が54.8%もあり、「回覧板の準備や回覧が負担となっている」が29.9%にもなっています。

 加入促進については、「転入者への町内会活動の周知・啓発」が42.3%と最も多く、「地域住民への町内会活動の周知・啓発」も36.1%ということから、町内会活動に対する「周知・啓発」が共通課題と言えそうです。

行事の手伝い・参加に、約5割が若者の参加を希望

 大学生などの若者に協力、依頼したいことは、「町内会行事の手伝い・参加」が49.7%、次いで、「ボランティア活動(地域の清掃活動など)の参加」となっています。役員の高齢化にともない、行事が町内会の負担になっているようです。

遅いデジタル化、わずか約1割

 町内会で「ホームページ、SNS(インスタグラム、Facebook、X(旧ツイッター)等)をもっている」は8.8%、「電子回覧板を導入している」が4.1%で、デジタルによる情報発信の弱さが浮き彫りになっています。

 「電子回覧板を導入したい」が22.6%、「ホームページ、SNSを運用したい」が15.2%あり、デジタル化促進の支援の必要性が見受けられました。

なり手不足解消が町内会最大の課題

 町内会活動の課題では、「役員のなり手が不足している」(96.1%)、「役員が高齢化している」(92.8%)と役員についての課題が多く、「特定の人しか参加していない」(91.7%)、「活動内容が慣例化している」(88.6%)、「活動の参加者が少ない」(86.0%)など、活動内容や住民の参加意識についての課題が提示されていました。

 なりて不足は、調査ごとに割合が高まっており、町内会にとって存続がかかった深刻な大問題と言えそうです。過去から、提示されてきた課題であり、どのような解決策を提示して支援していくのか、「札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例」を制定した札幌市の真価が問われる正念場です。

※調査内容:令和5年(2023 年)9月~11 月に市内の単位町内会長(町内会の代表者) 2,180 人にまちづくりセンターを経由した調査票の配付し、郵送もしくはWEB フォームによる回答をお願いしたもの。回答率は、49.8%(1,085件)


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