◆書籍紹介:水津 陽子「令和・アフターコロナの自治会・町内会運営ガイドブック」2020年 実業之日本社
回覧板、おまつりやイベントは中止。総会は書面会議・・・・。新型コロナ禍での町内会活動の現実である。今後、2年、3年とこの状態が続けば、(町内会の)存在意義を問われる事態に。地域でもこんな声が聞こえる昨今である。
新たな生活様式、リモートワークで地域に人が戻っているという期待もある。一方、毎年繰り返す大規模災害に共助の大切さを認識する人が増えているが、町内会が「いざという時に頼りになる存在」となっているだろうかと問題を提起する。
筆者は、町内会への無関心を嘆く前に、加入したらどんなメリットがあるのか、どんな参加の仕方やかかわりの仕方があるのか、相手の事情やニーズに合わせた参加方法などの多様な選択肢を示すことが必要と指摘する。
そのうえで、マンションの「共助コミュニティ」づくりの3つの選択肢を提示する。また、令和・アフターコロナの自治会・町内会の在り方として、「コロナ禍を機に活動を見直す」として、防災面での町内会の役割を明確にして、共助コミュニティとしての存在意義を感じてもらうことが、新たな加入や担い手獲得につながると述べている。
最後に、これからの共助コミュニティのヒントになる7つの事例、そして、共助コミュニティ活性化への自治体の役割事例なども紹介している。町内会活性化は全国的な課題で、起死回生の一手はないが、本書は、アフターコロナの共助、その受け皿である町内会のあり方を提起したひとつのヒントとなろう。